現在、夢限の英雄章―SIDE:HOME―で管理人(ENGA)が執筆、好評連載中の作品、

STRAIGHVER
(ストレイヴァー)

STRAIGHVERミニロゴ


「完全オリジナル創作:リアルスーパーロボットストーリー」

を掲げ、SF性、ロボットアクション、恋愛や人間模様等を追求していきます!!

このSIDE:BLOGでは、「夏休み特別企画」としてこのSTRAIGHVERのエピソードをブログに掲載していきたいと思います!!
これを読みまして興味を持った方、デザイン等が気になるという方は・・・

STRAIGHVER HOME

から、一気に一覧で読むことが出来ます!!そちらには、イラスト、メカニックデザイン、キャラクターデザイン、また「勝手に想定声優」や「勝手にイメージソング」等もチェックすることが出来ます!!

では、是非一読ください!!




05.覚醒

19:10 
臨海小公園

何かに弾かれたように駆け出した鋼鉄の蜘蛛と、白銀の巨神はその巨体をぶつけ合うようにして相塗れた。
上体を起こすようにして巨大な蜘蛛は両腕の爪を振りかざし、その巨神に襲い掛かる。それを二振りの剣・・・対装甲強化重斬剣、通称“ソードブレイカー”で受け止める。瞳のない鮫のような敵の顔面と、光り輝く2つの双眸が剣と爪に押さえられつつ、対峙する。
「くっ・・・」
コックピット内の威舞は歯軋りした。力負けしている・・・?あくまで冷静な表情はかわることはなかったが、確実に焦りの色は出ていた。上空のS-エアキャリバー “飛燕”とは通信が繋がらない・・・恐らく目の前の敵がジャミングを掛けているのだろう。
力負けしていても・・・まだ勝機はある。
「ストレイヴエナジー、ドライヴアップ・・・さいだいかくせい」
その言葉を目の前の小さなコンソールに伝えると、全身から発せられる光の粒子・・・紫の力は今まで以上に満ちてくる。
「・・・さいだいしゅつりょく」
その瞬間、その爪と激突しているメタルストレイヴ製の2本の剣に光の粒子が届く。その現象に、鉄の蜘蛛は怖気づいたように見えた。そして2本の剣が光り輝いた瞬間、敵の爪は吹き飛ばされた。8本から6本足になった蜘蛛に、更にソードブレイカーを向ける。
「・・・とどめ」
剣を振り上げた時だった。

ガシッ

後部モニターをチェックすると、背後にもう1体のVOLVEが現れ、両腕を羽交い絞めにしている。
「・・・!しゅつりょくさいだい、脱出をさいゆうせん・・・」
だが、その司令がSTRAIGHVERに届く前にその不可に耐え切れず、その鉄の双腕は叩ききられてしまった。と同時に正面に控えている6本足のVOLVEがその強固な頭部で頭突きのような体当たりを繰り出してきた。コックピットに直接衝撃が伝わり、操縦者を守るはずのキャノピーが割れ、砕け散った。
敵の位置を把握するため、STRAIGHVERのコックピットキャノピーは大きめに取られている。強化タイプで早々割れることはない・・・だが、その許容範囲もこのVOLVEは突破してしまったのだ。
「くっ・・・」
割れた透明の強化プラスチックが、威舞の頬を掠めた。その時、S-エアキャリバーから通信が入る。
『現在、その公園内にタイプAを発見しています。今からS-X03Aを降下させます、それまで可能な限り持ちこたえてください。“身の危険”を感じた場合、強制脱出も許可します』
「・・・りょうかい」
それが命令ならば・・・、威舞は機体を降りる気はなかった。
いや、戦うために生まれた彼女に“身の危険を感じる”=恐怖と言う単語は存在しないのだから。

「なんで・・・こんなことに!」
訳が分からない・・・が悪態をついている暇はない。何故だから判らないが、やってきたばかりの無口な転校生、弓月威舞がロボットに乗っている。更に、そのロボットで8本足の鉄の蜘蛛のような化け物と戦っていて、しかも2体。そしてそのロボットは敵に腕を引きちぎられていてピンチに晒されている。
柊真の頭は、疑問符だらけであった。
「・・・ったく、何がどうなってんだ!」
割れたコックピットから見える威舞の姿は先程と表情はまったく変わらない。というか、彼女に“感情”というものがあるのかさえ不思議である。
「そこから降りて逃げろ!」
よくは判らない、がこのままでは威舞の身が危険であることだけは理解できる。声を大にして柊真は叫んだ。だが・・・
「できない」
威舞の口はそう動いた気がした。そして残された脚部で果敢にも化け物の頭を蹴り上げる。「な・・・バカ!」
素人である柊真の目から見ても、無謀であることは理解できた。だが彼女の目は揺らぐことはない。
「どうすれば・・・」
敵は2体・・・もし、威舞のロボットが挟まれたら終わりだ。1体でも注意をそらすことができれば・・・
柊真は近くに落ちていた石を拾い上げると、思いっきり蜘蛛のような化け物の一体にぶつけた。
「しゅうま・・・」
冷静だったが、そんな自分の行動を威舞は見ている。一応あいつにも“おどろき”という感情は備わっているのかもしれない。
柊真は蜘蛛の化け物に向かって叫んだ。
「おい!化け物!俺を食いたいとおもわねぇのか!」
蜘蛛はその目を煌かせて、こちらを見つめた。よし、食いついた。ゆっくりと足を後退させる・・・予想通り、蜘蛛は俺を追いかけ始めた。
「やばいな、こりゃ」
全速力で柊真も走る。だが、
「しまった」
こんな時に、足を縺れさせるなんて!
振り返ると目と鼻の先に蜘蛛のような化け物が迫っている。牙を向き、体液や涎のようなものを垂らしながら・・・
(食われる・・・)

このまま・・・死ぬのか?
孤独に生き、結局何もない人生のまま・・・人とは少し違う運命を辿り、最期はこんな・・・訳のわからない奴に・・・

奥を見れば、威舞はロボットを操り、もう1体の敵と孤軍奮闘している。ここで自分が死んだら、このもう1体の蜘蛛は威舞の下へ向かうだろう。そうすれば、また威舞が危機に晒されるのか?
「ってか、何でこんなにあったばっかりのやつのこと・・・心配してんだろ」
自分で自分を笑った。
クレープをただ食って・・・自分のことはアダムとか、訳のわからない呼び方で読んで・・・おまけにロボットに乗って戦っている。なのに、何故そんな奴を助ける・・・?こんな死にそうになりながら・・・。
いや、理由なんかいらないのかもしれない。今になって分かる。あいつの瞳・・・孤独だった。違うかもしれないが、自分と同じ、孤独な眼だった。
だから・・・
なんとなく・・・死なせたくない、それで十分だった。
「案外、いい奴なのか・・・俺って」
そして、思った。
「まだ、死ねないな」
何とか立ち上がると、その場に落ちていた太めの木の枝、棒状のものを握り締めると、木刀のように相手に向けた。身長差は20m以上・・・でも、黙って食われるよりかはマシだ。
「往生際、悪いんだな・・・俺」
そして、木の棒を強く握った。
「うぉぉぉぉぉっ!!」
斬りかかろうとした、その時

ドゴゴゴゴッ!!

蜘蛛の化け物と自分の間に、一体の白き巨人・・・そう、威舞が乗っている機体と同じ物が高空から“降ってきたのだ”。立膝を突いたような体制で、驚き、腰を抜かした自分を見つめている。あまりのことに、自分はもちろん・・・敵である鉄の蜘蛛も距離を取り、警戒している。
「これは・・・」
その時、その機体の“顔”にあたる部分に備え付けられたスピーカーから人の声が響く。
『君が、タイプAなのか・・・?』
タイプA・・・?
自分の事を指しているのか?
『死にたくなければ乗るんだ!』
その言葉と共にそのロボットの胸部にあるキャノピーが開き、コックピットが姿を現す。自分に、乗れと言うのか・・・!?
「くそっ!」
訳が分からないが、あの蜘蛛の化け物も驚きの体勢から姿勢を立て直しつつある。こちらに襲い掛かられるのは時間の問題だった。もう、逃げ場はない・・・やるしかないのだ。
立膝を突く機体に何とかよじ登り、コックピットの座席までたどり着くことができた・・・。だが、そのコックピットは不思議な形で操縦桿=レバーの類が見当たらないのだ。あるべき位置にあるのは、腕を入れられるくらいの箱状の物体。それは足の部分=フットペダルにあたる部分にも箱状のものがある。アニメなどで見たロボットのコックピットとは大違いだった。
座席にしてもそうだった。一応、レザー製にはなっているが、座ると言うより寄り掛かる程度の傾斜しかない。
「これは・・・」
『腕を入れるんだ』
コックピット内にさっきの声の主から通信が入る。
「えっ」
『早くしろ!』
言われるがままに、自分の腕を箱状のものの中に挿入すると、目の前にある小さなコンソールパネルに文字が表示される。
“操縦者をSH―TypeAと確認。S-X03A:STRAIGHVER・・・Active”
その瞬間、コックピット内に光が灯った。微かな光がだんだんと暗くて見えなかった計器に灯って行く。そして、その鉄の顔面に備わった瞳に青い光が煌いた。
そして、立ち上がる。
仁王立ちになり、その鉄の蜘蛛に対して真っ向から睨みつけた。
“正面に敵、距離200・・・CLASS/SPIDER、V1Sと確認。エナジーリアクターの作動を推奨”
「・・・?」
そんな間にも、正面から鉄の蜘蛛が迫る。蜘蛛は鉄の爪を振り上げた。咄嗟に箱状の中の腕を動かすと、自分が考えている通りに動き、その2本の爪を押さえ込む。
「動いた・・・のか!?」
力をこめて握り締めると、それと同じようにこのロボット・・・も動く。さっきのコンソールの文字から推測すると・・・こいつの名前は・・・
「ストレイ“グ”ヴァー・・・」
『ストレイヴァーだ。君は英語が苦手なようだな・・・』
さっき自分に“乗り込め”と言った男とは違う、低めの・・・侍のような声の男と切り替わっていた。
「・・・うるさい!」
そんな悠長なことを話している暇はなかった。力を緩めれば、この鉄の蜘蛛が持つ、赤い爪に引き裂かれてしまう。さっきの威舞の時と同じように。
『エナジーリアクターを使え』
「・・・エナジー・・・リアクター・・・?」
『さっきの機体が使っていたのと同一の光エネルギー粒子だ。今の数十倍のパワーを発揮できる』
そういうことは、早くに言ってくれ・・・
もう、このSTRAIGHVERの腕が持ちそうにない・・・!
「どうすれば使える・・・!?」
『音声コードを言えばいい』
「何て!」
『覚醒機動、ストレイヴドライヴ・・・だ!』
ちょっと、動きが止まった。
何だ、その子供向けアニメみたいな決め台詞は・・・?
「・・・マジかよ」
『そいつは操縦者の心や意識に呼応する。その為のSH計画、X-シリーズだ』
「本当に言うのか・・・?」
『早くしないと、腕が持たないぞ』
確かに、両腕内のモーターや回路は悲鳴を上げ始めていた。このままでは・・・
「覚醒機動・・・すとれいぶ・・・どらいぶ・・・」
動かない・・・!
「・・・動かないぞっ!」
『声が小さいんだ!もっと腹に気合を溜めて、日本男児!大和魂!侍ハート!』
訳わかんないが・・・とりあえず、やるしかない!
「あぁ・・・!!やけくそだっ!!」

「覚醒機動っ!!!ストレイヴ・・・ドライヴッ!!!!」

“STRAIGHVE:ENERGY DRIVE ON”
の文字と共に、コンソールに大き1つの漢字が表示される。

“刃”

「・・・お前、ヤイバっていうのか・・・」
“肯定”
どうやら、ある程度の会話もこなせるらしい。
「なら、行くぞ・・・刃!」



機体から光のエネルギー粒子が放出されていく。それは威舞の機体・・・“剣”とは違い・・・紫ではなく、緑色だった。
「・・・いくぞ」
握り締めた拳に力をこめると、STRAIGHVERの双拳にも光が灯った。粒子が煌き、腕を包み込む。
「はぁぁぁぁっ!」
蜘蛛の両爪を吹き飛ばすと、その光の拳を黒銀の顔面に叩きつけた。が、ギリギリのところで顔面を反らす蜘蛛。拳は外れたが、それでも前足の付け根の部分に光の拳は命中した。
光の粒子が敵の体組織を破壊していく・・・。
ギャギャギャ
奇声を上げてのた打ち回る敵は、やがて見境をなくしたかのように“刃”に向かってきた。とっさに機体をバックステップさせるイメージを思い描くと、機体は後方にジャンプし、その攻撃を回避した。
「本当に思ったように動くんだな」
だが、この見境をなくした敵に近づくことは容易ではない。どうすれば・・・
“50mmハンドブラスター使用可能”
「・・・やってみるか」
その箱の中の腕を、両腰に当てるイメージを思い描く。すると柊真の思ったとおり、腰部のウェポンラックから2艇拳銃が現れる。
「くらえっ!」
躊躇いなくそのトリガーを引いた。1発・・・2発・・・3発・・・!!その弾丸にSTRAIGHVE:ENERGY=光粒子が絡みつき、破壊力を上げていく。
全弾、命中した。

そして、その1体は行動を停止した。

コックピットから辺りを見渡した。威舞の機体は押し倒され、その上に圧し掛かるように鉄の蜘蛛が迫っている。
「危ない!」
ハンドブラスターを向けたが、この距離では威舞にあたってしまう危険性がある。
“対装甲強化重斬刀、ブレードディヴァイダー使用可能”
「よし」
刃はもう1体の鉄の蜘蛛に向かって駆け出す。そして、天高く舞い上がった。夜空を背後に舞い上がる白銀の機体。それを地上からその蜘蛛は睨みつける。だが“刃”の勢いは止まることはない。
もう1つの腰のハードポイントから剣を引き抜く。それは片刃の日本刀のような形状で、威舞の機体と違い2刀流ではなかったが、長さは1,5倍はある。
自由落下の速度と、光粒子の力を借りて空中から刃は、その刀を振り下ろす。高空から振り下ろす一撃は、蜘蛛の後部の脚部を斬り裂いた。
その隙を見逃さず、威舞の機体が蜘蛛を粒子を纏った脚で蹴り上げる。蜘蛛の呪縛から脱出する威舞。と同時に刃に通信が入る。
『なぜ・・・頭部・・・でない?』
どうやら彼女は蜘蛛の頭部を切り裂けば一撃でトドメを刺せると考えていたらしい。
だがそんなことをすれば・・・
「お前ごと斬っちまうだろう」
『・・・たおせるなら』
死んでも構わなかったっていうのか?

ギギギギッ

奇声、どうやら蜘蛛にはまだ息があるらしい。しぶとい奴だ。
前足2本、後ろ足2本を失ってもなお、残された4本の脚で立ち上がる。そんな敵に
対して、前へ出ようとする威舞の機体を、柊真は制止した。
「俺がいく」
いくら死にかけだとは言え、いや死にかけているからこそ、断末魔の攻撃は怖いものがある。それに対して腕部を失った威舞機を向かわせるのはあまりにも危険だ。
その時、蜘蛛の最尾・・・尻部分が赤く発光しだした。柊真の感覚が告げる。
「危ない!」
刹那、柊真は威舞の機体を押し倒し、刀=ブレードディヴァイダーを前面に構えた。
尾から発せられた光の帯=熱光線と、刀に展開させた光の粒子が激突しる。
相対する緑と赤の粒子。

バァァァン!!

爆発に包まれる白銀の機体・・・
「・・・しゅうま」
威舞の呟き。

「いや・・・」
上空から見守る弓月総司令には分かっていた。こんな攻撃で、彼とあの機体が敗
れるはずない。

そして・・・
爆炎の中から、機体は現れる。
白銀の装甲に深緑の光・・・柊真が操る人類の希望…。

コックピット内で、通信機を使い先程の声の主に問いかけた。
「これだけあるんだから、無いとは言わせない・・・」
もはや、単語を言わずとも柊真の言葉は相手に通じた。
「ストレイヴエナジーを最大に。コードは・・・」
言われた通りのコードを、コックピット内のコンソールパネルに向けて伝える。
「ストレイヴエナジー、ドライヴアップ・・・覚醒出力最大!」
“了解”
そう表示されると同時に、機体全体に装備されたエナジーリアクターから大量の緑に輝く光粒子が放出された。
「・・・なんでこんな事になってるんだか」
そう呟く柊真。今日の朝起きた時は、こんな転校生が来ることもロボットに乗ってこんな化け物と戦うことも考えていなかった。自分の置かれている状況を考え直すと不思議な気分だし、馬鹿らしくなってくる。が、今更だ。
再び柊真の双眸は鋼鉄の蜘蛛を睨みつける。意識を集中させた。
刀であるセイバーディヴァイダーにも光粒子が吸着、輝きを増していく。
海風が吹き付ける。
夜桜が舞った。

背部に装着されているブースターが起動した。
「はぁぁぁっ!!」
駆け出す黒き蜘蛛と白銀の巨人。

19:20

すれ違った時、既に勝敗は喫していた。

ギャャァァッ!!

奇声と共に倒れる鋼鉄の蜘蛛。鉄ごと相手の体内を斬り裂いたのだ。奴の体内からは血しぶきと肉片が散乱している。昔のアニメみたいに爆発・・・ということはないらしい。
コックピットの中から柊真は空を見上げた。
さっきまで見えなかった月が、雲が去ったからだろうか・・・星達と同様頭上から機体を照らし出す。舞い散る、桜と共に・・・。

「夢、じゃないよな・・・」
その時、コックピット内に再び通信が入る。今度は女性だろうか?冷静な声質だった。
『VOLVE撃破を確認。そちらへS-エアキャリバーを降下させます。タイプA、Eは現状待機』
『りょうかい』
威舞の頷く声。
柊真はそれを聞くと、コックピットのハッチをこじ開け、機体から飛び出して、一目散になるべく遠くへ離れていった。
(巻き込まれるのは・・・ごめんだ)
うまくは言えない・・・だが、柊真は嫌だった。この場、この空気、この機体が。急に嫌になったのだ。
そう、昼間に見た・・・血に染まった死神のような威舞を思い出して・・・。

傷跡が、痛んでいた。


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2008.07.24 Thu l (創作)<旧>STRIGHVER l COM(0) TB(0) l top ▲

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